絵手紙講座

絵手紙・・・と云うと大部分の人は、筆を持ったことがない、絵を描いたことがないから自分にはとても出来ないと思ってしまいます。 でも絵手紙は誰でも描くことが出来ます。何故ならば上手に描くのが目的ではなく描く人の心の中を小さな1枚の葉書に託して一言の言葉をそえて相手に伝えます。 描き送る喜びはもとより、受け取った人もその人の真心に接し励まされ慰められ或いは悲しみをわかち合い目には見えない「絆」で結ばれます。 相手を思いやる気持ちで描く絵手紙に上手い下手はありません。忙しく日々を過ごす中にも小さな野の花を賞で、身近にあるいろいろな品物に思いを託す 心のゆとりを持って暮らしたいですね。 まず実行です。あなたも筆を持って楽しみましょう。

2000年10月15日 加藤綾子

開催日時

毎月1回(第三土曜日)

講 師

加藤綾子氏

1.絵手紙について

絵手紙とは、絵・字・文の3つによって自分を表現する

絵手紙のワンポイント

1.既成の書き方にこだわらず、思った通りを書く。

2.絵でも文でも他の人のかいたもので自分が良いと思ったら気軽に真似をしてみる。

3.本番でいく。下書きはせず、心に映ったままを直接紙面に描く。絵で失敗しても文で個性を出し破らず必ず投函する。

2.必要な材料

1.モチーフ

身近にあるもの、何でも良い。
花、野菜、果物、魚、動物、小物、風景、人物

2.筆

輪郭を書くためのもの、又、文字も同じ筆で書く。

  • 彩色用 隈取り筆の中
  • 面相筆 普通の絵手紙には殆ど使わない。目とか眉等をかく。

3.墨

青墨(松煙墨、松脂を燃やした煤からとる。)これは菜種油をもやした煤からとる油煙墨より淡い色合いで顔彩の色を良く生かす。

4.硯

青墨は粒子が荒く硯を傷めるので高価な硯は使わない方が良い。
丘が滑らかになったら砥石で砥ぐ。

5.紙

  • 官製ハガキ 筆が滑って色は定着しにくい。色がたまる。和紙に描いて糊で張る。
  • 和紙 紙の色、厚味、その他種類が豊富。
  • 本画仙紙 滲みが大。
  • 和画仙紙 墨色、顔彩の発色や滲み、かすれ等が良く出て柔らかい感じ。

6.顔彩

メーカーによつて色や名前異なる。色をよく憶える。

7.落款印 印泥(落成の款識)

書画に署名、押印すること完成の印。印泥(中国)美麗朱砂青花古色

3.実際に描いてみる

1.墨を磨る

墨が薄すぎると絵がぼやけ、濃すぎると顔彩の淡い色とあわない。

墨を磨る3つの方法

  • 硯の海に水を入れ丘であまり濃くならない程度に磨る。海に流れ込んだ墨と水との混ざり具合や丘に残っている少し濃い部分をうまく調節して濃淡を出す。
  • 丘に2~3滴の水を落とし、ドロリとなる位濃く磨る。そこへ水を静かに入れて薄めて自然に混ざって濃淡が出るようにする。
  • 少し濃い目に墨を磨ってそれを別の小皿にとりそこへ水を入れながら濃淡を調整する。

2.構図を決める

  • 描く対称を良く見る。見る方向、重さ、香り、手触り
  • 描く部分を決める。全体か、どこか一部。
  • ハガキを縦にするか、横書きにするか。
  • ハガキの中央か、左右どちらかに寄せるか。
  • 一つか、二つか、数個か。

3.描く

  • 画面をいっぱいに使用する。(大きく描くと迫力が出る)
  • 下書きはしない。ぶっつけ本番。
  • かき易い部分から、中心から、手前の部分から。
  • 見たままをゆっくりと。(目が先生で手は生徒)
  • 小さいものは特に大きく。(目立つし、見る人の心を引きつける)
  • 大きいものは全体を描かず2/3位カットしてしまう。見る人の想像で大きさを表現する。

4.線を描く

引き締った鋭い線を心がける。

  • 筆に墨をたっぷり含ませてから、しごいたり、ティッシュで拭きとって墨量を調整する。かすれても良いから墨つぎはあまりしない。
  • 筆の持ち方
    筆を直角に立てて上の方を軽く持ち、肩の力を抜いて筆先の2~3本の毛が紙につくかどうかという位の細さで穂先を紙に衡き立てる。

5.彩色

彩色筆を使用。

  • 筆の水分の多少に注意。(にじむ)
  • リズミカルにスピーディーに。
  • はみ出しても気にしない。
  • 色は紙をたたくように。
  • うすい色から中間色へ最後に濃い色を。(白く抜く部分を含めて4段階)
  • べったりと色をつけず、光っている部分は葉書の白さを利用して残す。
  • 色は混ぜて2~3色。
  • 修正は生乾きのうちに。乾いてから色を重ねると筆跡がついてそこだけ目立ってしまう。淡い色の上に濃い色を重ねる時は筆の先を細かく使ってぼかし乍らなじませる。
  • 乾くと色は薄くなるので濃い目に彩色。
  • にじみや、かすれを入れると立体感が出る。

6.文

  • 短い方が効果的。(自分の心の表れ)
  • 呼びかけ、語り掛け、おしゃべりをするつもり。
  • 文字をいれる空白と行の切れ目に注意。相手の読みやすいように。

7.字

  • 自分流で。
  • くずしたり、続け字にしない。
  • 四角く活字調。(左右対称、平行線、貫く線は中央に)
  • 字も筆の上を持って穂先で描く練習を。
  • 大小、強弱、太い細い、涸渇、遅速等で変化をつける。

8.落款印を押す(消しゴムで作る)

  • 押す場所は一般的に左下。バランスの取れる所。

4.その他のこと

  • 葉書は宛先を書く面が表。
  • 横書きの場合、切手が左手へ来る。
  • 表面も半分以上、私信や絵が書ける。
  • 変わったハガキ類、大きさ、材質。
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