発進塔

456号 発進塔:天燈祭

掲載日:2023年09月10日

愚痴を言っても仕方ない事ではあるが、連日家の中にいても蒸し暑い。以前の秋には中秋節を迎える頃になると、朝夕はめっきり涼しくなったものであった。人間の煩悩が昨今のような環境を生みだしたものであろうか。ところで秋とは日時からいつ迄を言うのか皆さんはご存知だろうか。秋とは陰暦の八月十五日の満月の日を中心にして前後四十五日ずつ、合計九十日間を昔からそう呼んで来た。私達が使用している暦のように一年間を固定しないで、地球から観た月の位置で季節を定めたものである。そして天文学や自然科学としてだけでなく、人々の文化的生活や農耕にも活用されてきた。

今年は満月の日が九月二十九日であるから、逆算すると八月十五日から十一月十二日までが秋ということになる。更に付け加えると二十九日を中心に一週間が秋の中心にあたる中秋節ということになる。

中国では国民の大移動と言われる位、多くの方々が故郷に帰り、家族の無事を確かめあったり、お墓参りをしたり、満月を眺めながら御馳走を食べたり、と一年で最も家族に賑わいが見られる時季でもある。

私達は近年、その名月の日にお世話になった逝った方々に天燈を掲げ、思いを届ける行事を続けている。今年も三十日を予定に皆で手分けして準備を進めている。出来栄えは昨年も述べたように天候次第である。近隣の子ども達も声かけしたいと考えている。

年老いて

人間には避けられぬ、生・老・病・死という四苦に加えて、愛別離・怨憎会・求不得・五陰盛といった苦労が付きまとっている。前の四苦に加えて、いわゆる八苦である。後半の四つの苦の内、三つは読んで字の如くであるが最後の五陰盛というのは仲々理解しづらい。注釈本によると人間は一つの肉体的要素と愛・想・行・識という四つの精神的要素から成っているという佛教思想のようである。詳しい事は近い内にお逢いして曹洞宗の村上和光ご住職にご教示頂きたいと考えている。村上ご住職は、曹洞宗全国九管区(六十六宗務所、一万四千ヶ寺)所長会組織三役の副会長・九州管区管区長・熊本県第二宗務所長を務め、かつ慈永会の理事もお務め頂いている。  ところでこんな諸々の苦労に耐えてなお生きていかねばならないのであれば、せめて今からでも朗らかに生きていこうと心に決めたのは喜寿を迎えた頃であった。そして米寿を迎えた昨今になっても、それが実行できていない。

一貫グループ会長
永野 義孝

今月の紙面一覧

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2.人材確保の取り組み 脳波検査 技能実習生の初級試験
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