慈永会について
444号 発進塔・選:中秋節
掲載日:2021年09月01日
今日は二十四節気の一つで秋の到来を告げる白露である。然し海を眺めると紫がかった濃い青色であり、空を見上げると入道雲みたいに真白な雲が青空に盛り上がっている。快晴の天候であるのに喜べず、早い梅雨入りで大雨が続き大きな災害を引き起こした異常気象が未だ続いているのではないかとつい気味悪さまで感じられた。
とはいってもすでに秋も半ばでやがて中秋節を迎える季節に差し掛かった。この時節は夏の疲れがどっと出てくる頃でもある。健康管理には呉々も留意して頂きたい。
ところで中秋節であるが、これは秋の彼岸のことである。私達が生きているこの世を此岸というのに対して、死後の世界を向う岸という意味で使う佛教用語で、涅槃の世界・悟りの世界とされている。
残暑は厳しいが、秋とは一体何時から何時迄を言っているのかというと、陰暦の八月十五日の満月の日を挟んで前後九十日間をそう呼んでいる。今年は八月四日から十一月五日までが秋である。そしてその中で九月二十日の満月の日を含めた一週間が中秋節(彼岸)である。最近の若い人はというと顰蹙を買うかも知れないが、多くは秋分の日で祭日になっていること位しか知らないのであろう。
先祖を大切に思っている人は今日でもお寺参りや仏壇に馳走を供えたりしているが、昔に比べると信仰心も希薄になっているのではなかろうか。
ところで隣の国(中国)では、人々にとって一年で最も大切な、そして楽しみにしている日々である。家族全員が故郷に集い、揃ってお墓やお寺参りをしたり、ご馳走を食べたりと賑やかなものである。この時期里帰りをする人は五億人とも六億人とも言われる位の大移動が行われるらしい。
ご馳走を食べながら名月を眺める習わしが今も続いている。観月会は家庭で行うのが主であるが、最近では見晴らしのいいホテルとか水辺や山腹のレストラン・公園等で行っている人も多い。月見をするのは、逝ってしまった親しい人や遠くに離れて暮らしている家族あるいは親しい人と月を介して会話をするといった優雅であるが少し感傷的な催しでもある。そしてその折必ず出てくる一品が月餅である。
三潭印月(さんたんいんげつ)
中国・杭州に西湖という大きな湖がある。唐の時代に白楽天が世界初の失業対策事業の一つとして造り、後の宋時代に蘇東坡が追加工事を行って現在の姿になったものとされている。その湖の東側の水面にある三つの石塔が三潭印月である。一辺六十二メートルの正三角形を成している。中秋節には石塔に火を灯し、塔の円孔を紙で塞ぐと水面に小さな月が生じ、湖面に映える天空の名月と引き立て合い、幻想的な美しさが演出され、中秋節の頃には多くの人々が訪れている。私も以前に一度だけ湖畔のレストランで中秋節を過ごした記憶がある。
天 燈
コロナ禍もあり縮小して行わざるを得ないが少しばかり今回も天燈をあげる予定で準備を進めている。開園当初から療育園に入院して亡くなられた百十三名の皆さんや、今日迄に大変お世話になった方々への感謝の気持ちを添えていて、それぞれの想いを多くの職員に書いてもらった。
天燈は本来、気球を小さくしたようなもので竹と紙でつくり、底部に油をしみこませた布を固定し、それを燃焼さすことで紙袋内の気圧を低下させて上昇さすものである。
三国時代の中国で諸葛孔明が戦時の通信手段として使用したことから孔明燈とも呼ばれている。
近年台湾では観光用に昔のまま行われているが、時には火災が発生することもあるらしい。そこで制限が厳しくなっており、我が国では飛散しないように糸で繋ぎ、回収する事が義務づけられるようになった。
最終の出来栄えは天候次第である。
(九月七日)
(※この記事は以前掲載分を今様に加筆したものです)
社会福祉法人慈永会理事長
永野 義孝
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