発進塔

430号 発進塔:中秋節

掲載日:2018年09月15日

猛暑が続き、加えて台風・水害・地震といった災害が多かった今年の夏も過ぎ、秋も半ばでやがて中秋節を迎える季節に差し掛かった。この時節は夏の疲れがどっと出てくる頃でもある。健康管理には呉々も留意して頂きたい。

ところで中秋節であるが、これは秋の彼岸のことである。私達が生きているこの世を此岸というのに対して、死後の世界を向う岸という意味で使う佛教用語で、涅槃の世界・悟りの世界とされている。

残暑は厳しいが季節は既に秋である。さて秋とは一体何時から何時迄を言っているのかというと、陰暦の八月十五日の満月の日を挟んで前後九十日間をそう呼んでいる。今年は八月十日から十一月七日までが秋である。そしてその中で九月二十四日の満月の日を含めた一週間が中秋節(彼岸)である。最近の若い人はというと顰蹙を買うかも知れないが、多くは秋分の日で祭日になっていること位しか知らないのであろう。

先祖を大切に思っている人は今日でもお寺参りや仏壇に馳走を供えたりしているが、昔に比べると信仰心も希薄になっているのではなかろうか。

ところで隣の国(中国)では、人々にとって一年で最も大切な、そして楽しみにしている日々である。家族全員が故郷に集い、揃ってお墓やお寺参りをしたり、ご馳走を食べたりと賑やかなものである。この時期里帰りをする人は五億人とも六億人とも言われる位の大移動が行われるらしい。

ご馳走を食べながら名月を眺める習わしが今も続いている。観月会は家庭で行うのが主であるが、最近では見晴らしのいいホテルとか水辺や山腹のレストラン・公園等で行っている人も多い。月見をするのは、逝ってしまった親しい人や遠くに離れて暮らしている家族あるいは親しい人と月を介して会話をするといった優雅であるが少し感傷的な催しでもある。そしてその折必ず出てくる一品が月餅である。今回の法人の観月会でも趙さんの月餅を皆さんに配布する予定で準備を進めている。

三潭印月(さんたんいんげつ)

観月会は優雅な催しであると言ったが、その一例として三潭印月について少し述べてみようと思う。

中国・杭州に西湖という大きな湖がある。唐の時代に白楽天が世界初の失業対策事業の一つとして造り、後の宋時代に蘇東坡が追加工事を行って現在の姿になったものとされている。その湖の東側の水面にある三つの石塔が三潭印月である。一辺六二メートルの正三角形を成している。中秋節には石塔に火を灯し、塔の円孔を紙で塞ぐと水面に小さな月が生じ、湖面に映える天空の名月と引き立て合い、幻想的な美しさが演出され、中秋節の頃には多くの人々が訪れている。私も以前に一度だけ湖畔のレストランで中秋節を過ごした記憶がある。

天 燈

今回の観月会には先祖の供養や自身の夢を書き色んな千個の天燈を掲げる予定である。今年は創業五○周年にあたることから私もこれまでお世話になった方々への想いを文字にした。また、両法人の職員や入所者の方・支援学校の先生方・療育園の保護者の方々にも協力頂いた。

天燈は気球を小さくしたようなもので竹と紙でつくり、底部に油をしみこませ布を固定し、それを燃焼さすことで紙袋内の気を低下させて上昇さすものである。

三国時代の中国で諸葛孔明が戦時の通信手段として使用したことから孔明燈とも呼ばれている。

最近では観光にも活用されているが制限が厳しくなり、見ての通りとなっている。最終の出来栄えは天候次第である。

一貫グループ会長
永野 義孝

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