発進塔

438号 発進塔:謹賀新年

掲載日:2020年01月01日

明けましておめでとうございます
新年が皆さんにとって穏やかな年になるよう祈っております

地球からおよそ5500万光年の距離にあるブラックホールの存在は、アインシュタインの相対性理論で予言され、証明されていましたが、その色・形を観測するには大きさが地球規模の巨大天体望遠鏡が必要であると言われ、それは不可能なことであると考えられてきました。ところが昨年それに成功したというニュースが突然飛び込んで来たのです。ちなみにブラックホールは直径400億kmだそうです。

今回観測に使用された望遠鏡はイベント・ホライズン・テレスコープといい、超長基線電波干渉計(VLBI)という仕組みを用いて、世界8カ所にある望遠鏡を同期させ、地球の自転を利用することで、地球サイズの望遠鏡を構築させたそうです。人間の視力でいうと300万に相当するらしく、月面に置いた野球ボールが見える程です。

今回実際に使われた望遠鏡は、ハワイやメキシコの火山、アリゾナやスペイン・シエラネバタ山脈の山々、チリのアタカマ砂漠そして南極に設置されています。いずれも観測条件としては良好な場所ですが、300名以上の研究者にとっては厳しい環境だそうです。これ等から得られた生データはドイツのマックスプランク電波天文学研究所とアメリカのマサチューセッツ工科大学のヘイスタック観測所に設置されたスーパーコンピュータで処理されたそうです。

発表された観測成果は何十年にもわたる観測的・技術的そして理論的な取り組みと研究者達の連携の結果でもありました。遠い宇宙の話だと協調できるのに、地球規模の問題だとそれが出来ないのが人間の定でしょうか。実はこの協調の精神こそ、私達が大いに学ばねばならぬ事です。

さて夢のような遠い宇宙の話から、過ぎる程身近な題目に話を戻します。

慈永会では愈々かねて建築中の療育園建替え工事が終わります。新しい建物は熊本地震を教訓にして免震+PCという工法で行いました。PCとはプレキャスト・コンクリートの意味です。建物を造るときは通常、基本構想→意匠設計→設備設計→構造計算それから工事着工という風に進みますが、今回は基本構想→設備設計→構造計算→意匠設計と逆にしてみました。

建物を維持管理してゆく上で、従来のやり方では建物を長持ちさせるのが不可能であると考えたからです。天井裏を広いスペースにしたり、配管・配線スペースを従来の2倍以上に広く確保したりして、定期点検や設備の更新作業を行い易くした訳です。

今回の建物は最低でも100年以上使用可能であることを基本として進めました。完成時の見栄えより先々の事を考えたのです。

まもなく竣工

はまゆう療育園の移設ということは、職員にとっては単なる職場の移転という感覚でしょうが、入園している人、特に永年住居にもしている方々にとっては家の引っ越しを意味する事にもなり、住環境が大幅に変わることを意味します。保護者を含め従来より良くなった、安心だと思って頂けるものでなければなりません。またしばらくの間は苓北支援学校の機能の一部が療育園内に混在することになります。少々手狭に感じる面もあるかと考えられますが辛抱してください。移動は4月1日に総出で行う予定にしていますが皆さんにもご苦労かけます。

なお新年はまず経営方針の改定を行いますが、療育園移設後の既存の建物をどう活用するか、労働人口減少に対応する為に外国人労働者をどう受け入れるか等々次から次へと課題がつきそうにもありません。

どうかよろしくご協力の程を。

一貫グループ会長
永野 義孝

今月の紙面一覧

1.年頭挨拶
2.クリスマス会 逆面会 職員文化展開催 一年を振り返って(慈永会)
3.クローズアップ-東洋医学における鍼治療- 一年を振り返って(稲穂会)
4.令和初の文化展 点灯式 イルミネーション

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